家路の途中。

愛知県での仕事を終えて、ふと寄り道したくなった夕暮れの宿場町。
国道1号線に平行して走る街道・関宿は東海道五十三次の47番目。今も1.8キロに渡って残る宿場町。まるで映画のセットのようで、ちょっと間を空けて訪れるたび、失われていないかの不安と共に、決して失望させない安定の佇まいは何度来ても感動する。
美しく蛇行して伸びる通り。江戸から京へ、京から江戸へ。都に向かう道の先には鈴鹿山系が夕暮れの空に、色濃い切り絵のようにそびえている。恐らくは宿場が開かれた頃からそう変わらない景色に触れると、あの山越えてここに辿り着いた人々、あるいはあの山を翌朝には越える覚悟に旅の疲れを癒す人々、そんな、大昔の人々がリアルに思い浮かぶ。とは言え、現代人のへなちょこな私は、ひとっ飛びで車でやり過ごす、ほんの僅かに高速道路という時間の快適性から下りただけの、軟派過ぎる旅人なのだけれど。

それでも充分に、寄り道がいかに幸福をもたらしてくれるかは知る事が出来る。
昼間はちょこちょこと、若手の人らが開いた可愛いお店もあって賑わいをみせるが、夜ともなると人は誰も歩いていない。けれども家々の灯はともっていて、生活の匂いはする。それがなんとも嬉しくて、まだ家まで道半ばだけれど「帰ってきたなあ」というほっこり感が湧いてくる。
ちょっとドロップアウトして道を外すのも、やっぱりいいもんだなあ。