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まだ、白くならなくても良いよ。半夏生。

梅雨時期の晴れ間。朝から庭木達の光の粒が美しい。
先日、京都・山科にある勧修寺(一体エリアを勧修寺=かんしゅうじ、と呼ぶが、お寺の名前は「かじゅうじ」と呼ぶ)へと久しぶりに。
庭園中心には「氷室の池」があり、平安時代には毎年1月2日にこの池に張る氷を宮中に献上し、その氷の厚さによってその歳の五穀豊凶を占ったと言う。今はしかし、この辺りの池が果たして凍るだろうか。ほんのすぐ脇を名神が通り、開発期には高速道に沿って景観保全や騒音軽減の為、お寺が50mに渡って竹を植えたと言う。高速道緑地化の先駆けだったというのを、以前ネットか何かで見かけた。
ともあれ、そんな環境も間近にあるが、観光客は実にまばら。池の周りをぐるり散歩すると、昼間は鯉がゆうゆうと水生植物をぬって、夕方には琵琶湖から帰って来る水鳥達の寝床となる美しい楽園が広がっている。
境内の一角には、半夏生がみっちり植わっていて、「ご自由に苗をお持ち帰り下さい」と、丁寧にスコップまで備えられていた。なんかいいなあ。引っこ抜いてみるとひょろ長いのにしっかり根が張っていた。
夏至の日から数えて11日目頃の雑節「半夏生」。その頃にちょうど、花を咲かせて葉の数枚、表側だけが白くなる事から、その姿がまるで半分お化粧をしたようだと言う事で名付けられた「半夏生(はんげしょう)」。
庭の一隅に植えてみたら、早くもチラチラと葉が数枚白くなってきた。
なあなあ。梅雨は梅雨時期の楽しみがあるんやから、そんなに急かんといて。

谷口菜穂子写真事務所
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