食べ物屋さんで出会った、ちょっといい話。

 

 趣味性やスタンスが似た人たちと常群れたりせず、あんまり何処かひと所にも属さず、生活環境や、自分とは違った視点や意見をしっかり持つ人、家族構成など全く異なる人とポツポツ一緒に居るのが好きだ。

 そうすると、違ったことが見えてくるし、いろんな発見がある。思えば、同業の友達は僅かにしか居ない(苦笑)。

 そんな中、昨日、ひとつ素敵なお話に出会った。

 

 滋賀県大津市の元競輪場跡地に出来た、大きな公園のあるショッピングモール。

 真新しい敷地は若い木々が植栽されたばかりで、冬枯れ時期もあって、あと数年は、緑豊かないい感じになるのにかかるだろうなあと思いながら。ほぼほぼ、普段行く事も無いよくある大型資本のテナントばかりの中、新たに見知らぬピザ屋さんがオープンするという事で、小さい子供の居る友達と食べに出かけた。

 これが思いがけず美味しいピザで喜んで、おしゃべりを楽しんでいたら、食べ終えて退屈しだした子供がジャケットを着て帰ろうアピール。そこにすうっと、ホールのお姉さんが近づいてきて、ペンケースと二つ折りした画用紙を持ってこられて「お絵描きする?」と声を描けた。

 ペンケースには色とりどりの蛍光ペンが入っていて、子供は喜んで絵を描きだした。何を描くのやらと見ていたらまずピザを描いて、それからお姉さんの顔を描いて、そこから手が生えて、途中、お姉さんはさりげなく、仕上がっていく絵をちょこちょこ褒めては去っていき、子供は照れながら嬉しそうに、ホールで慌ただしく接客するお姉さんの姿やユニフォームをチラチラ盗み見しながら、出来上がったのは、ピザを持つ笑顔のお姉さんだった。

 普段、「恐竜の絵しか描かないのに」と、友達は言った。私も彼が描いた絵は恐竜しか見たことが無かった。それも一番大好きな、ティラノザウルスがほぼほぼ。

 子供は描いたばかりの絵を無言でお姉さんに渡した。お姉さんはとても喜んでくれた。友達も私も寄る歳泣き上戸なので、半泣きになった。

 

 友達親子と別れて、すべての情景を思い出しながら帰路につく。オープン2日目で通常営業のオペレーションすら確立されてないだろう中を、なんと心の優しいゆとりだろう。画用紙も、あのペンケースもただ単に、お姉さんの私物だったんじゃないか。二つ折りにして手渡した画用紙も、テーブルに色移りしないような配慮だったのも、子供が帰ろうとしてる中をもうちょっと大人がお喋り出来るよう、絶妙の配慮で話しかけてこられたのも、何より、お姉さんの振る舞いがとても自然だった事も、すべてのシーンを思い返すと実は小さい愛だらけでまた泣けてきた。

 そしてその優しさを存分に子供が感じていた事も。あの嬉しさいっぱいの顔!

 

 あんな風に、生活の中、社会の中、みんなみんな、出会い頭のわずかなタイミングでも、ちょっとちょっと、優しい気持ちを出し合えたなら、それだけでも相当、いい世の中になるんじゃないかと思った。

 

 テナントの一角に、中古のアート本や絵本、児童書などが売られているお店があった。その中にいくつか、自分が子供の頃に大好きだった絵本があった。昔はよく、自分が子供の頃にお気に入りだった絵本を見つけては本棚にストックしておき、出会うタイミングで気まぐれに子供が居る友達にあげたものだが、周りの子供はもう、大きく育った子がほとんどで、いつの間にか、そういう事をやめてしまってたなと振り返る。

 

 また、コツコツ始めようかな。

 かつて小さい頃に、自分が人に与えてもらって、嬉しかったことを思い出すことから。