
「老け込んだ話するなよ、気持ちを若く!」と、叱咤激励されるかもしれないが、介護や看取りのプロセスに立ち会うと、人は生き進むと、選択肢というのは段々に限られてくるんだというのをつくづく感じる。
今日、久しぶりに会った介護職の友達が、介護中の友人を一緒に見舞った際に、なんとか大事な人のベストな環境を整えようとして選択に困り果てている様子を見て、「ベストを求めても限界があるよ。ベターにシフトしないと」って言った時、その言葉の深さがキッパリ言える専門家の姿に惚れ惚れすると共に、そうだ、これで良いのかを思えば思うほど、見誤ってループに嵌るんだ、実際にはどうしようも実は出来ない後悔の渦に巻き込まれていくんだと思った。

先日、何気なくSNSのストーリーを眺めていたら、一見有りがちな、「若いうちに行くべき海外の絶景〇〇選」というのが流れていた。
基本、若い子をターゲットにしている内容なのは勿論なのだが、その理由づけがなかなかシュールで、ある意味、もう二度といけないだろう我々以降の世代に刺さる内容だった。
例えば、超傾斜地リゾートの階段だらけの街。近隣にまずトイレの無い絶景。など。ほんとそうだなあ。これだって、どんどん、気持ちと実態の狭間で選択肢が限られてくる。まあ、楽観的に思えば、何もかも無制限に選択出来るとこれまた迷いに迷って困るし、一方で行動に伴う原資もある程度必要で、狭められるからこその選びどころもあるよね、とはまだ思える。
という所で、さあ何処を落とし所にしよう。まずは生きて元気で出来ることは、出来る限りやってしまおうと思うことだ。という事で。
可愛いもんです。古くからの女友達三人で、近場の岐阜・養老の温泉に行こうということで一泊してきました。

もう15年以上は前に、愛知や岐阜にはよく仕事で行ってた事があり、養老の先の大垣も、お気に入りのお店がいくつかあった。駅前通りの昭和感満載の、その頃もかなり閑散とした様子だったがどうなってるだろう、流石に、あの異様なほど厳つい廃墟ホテルはもう無いよな、なんて思いながら、大垣城の廓町というお堀エリアに向かってみる。
嬉しかったのが、流石のこちらでも、古いお屋敷などが良い感じにリノベされ、可愛いお店たちとして新たに生まれ変わってきていることだ。これは朗報。初めてこの辺りを訪れた友達らも、とても楽しんでくれた。
界隈の人たちに聞くと、桜の時期はものすごい人が訪れるらしい。
今回は梅雨の合間のアンニュイな空模様だったけど、それはそれで、静かで風情があって良いなと思った。

学校を卒業して遠く、それぞれの道を歩むようになると、それぞれの方向性はまるで違って、好きなもの、譲れないもの、凝り固まったもの、などなどを知らぬ間に育んでいる。そうやって、共に時間を過ごさなくなった友達らと、また時を経てこうして会うようになると、まあまあおかしな事や、互いに譲歩しなきゃならないことなどが生じてくる。
ただ、気楽なのは、休みたくなるタイミングが一緒、トイレ休憩や、タバコ休憩(時代錯誤なことに我々三人共に喫煙者)も一緒、体のガタがきてるとこも大体一緒、というもの。また、ノーメイクでも、なんて事ないのもある。競い合わない、戦いを捨てた女同士は最高だとこんな時に思う。
「昔は、なんで母親世代って、みんなで連んで旅行行くの好きなんやろ。温泉とか行くの好きなんやろって思ったけど、なんか今になってわかるわあ」と、一人が言う。確かに、とも思う。
養老の温泉旅館の翌日、「養老といえば滝」と言う友達を阻止し、私は「養老と言えば養老天命反転地やろ」と言って、サイトを見せて行きたい所プレゼンテーションを行なってみた。推し活に熱心な一人が、「あ!知ってる!嵐の〇〇君が言うてたとこ!」と言い出し、さりとて、その推しの言葉を信じて「なんか平衡感覚がヤバいらしいから我々無理ちゃうか」と及び腰になったが、もう一人が「行きたーい!」と言う二対一多数決で行くことになった。
が、結局は、写真を撮りながらでゆるゆる歩く私のずっと先を、嬉しげに先を進んでいく二人。距離感も何も、不思議で遠く小さく見える彼女らが微笑ましくて、何が目的だったのか、いい意味でわからなくなってしまった。とにかくだ。このアートテーマパークを当時、よく作られることにGoを出した行政?に、感嘆するのだけは確かだった。めちゃくちゃに、面白いし、実は相当に意味深い。
推し活の友達は仕切りに「何のためにこんなん、作ったんやろか」と、アーティストらの意図を聞きたがるくせ、私がそれなりに解釈を喋ってみても、結局のところ、よく分からないようで「ふーん」と、軽く流された。
良いんだよ。どうとったって、それがアートなんだろうから。
第一、多分、あと5年か10年もしたら、もう、ここに来ようなんて、私が言い出すかも、言い出した所で、君らが乗ってくるかも、本当にわからないんだから。
ただし、またきっと、後一度は最高にお天気の良い日に、再訪したいけどな。いつかな。