「びわ湖大津館」で薔薇に酔う。

 

 滋賀県大津市にある「びわ湖大津館」とは、旧琵琶湖ホテル本館を転用した大津市の文化施設である。

 「琵琶湖ホテル」とは、1934年に建築された建物で、外観は桃山様式の和風、内観は重厚な洋風となっており、「湖国の迎賓館」として、外国人観光客の誘致を目的に県内初の国際観光ホテルとしてつくられたそうだ。85年前。今で言うところのインバウンド目的のホテルと言うところだろうが、大方1世紀を迎えてもいまだ健在の堂々ぶりには、昨今の短期的消費型建材の、短い構想スパンで安直に考えられた訳じゃ決してない、それ相応の全体的なまちづくりの気高い思想みたいなものが感じられる。

 

 さて、その建物に隣接する約5900㎡に広がるイングリッシュガーデンには、その向こうに琵琶湖を眺めながら季節の花々で彩られた庭園が形成されており、中でもバラは300種3000株が咲き誇り、この時期、そして秋には様々なバラを鑑賞する事が出来る。そんな訳で有名なのはバラだけれど、バラ以外のいろんな花々もたくさん咲いていて、それがまた良い。

 洋花、それも特につるバラなど、実は思いのほか和風建築にも合うなぁ、と、京都の町家や蔵の前で咲かせたお家の人たちの花々に常思う。思い切り無理やり、日本の風景に突飛な洋風を仕立てなくても、和洋折衷を建物と花が醸して上手くいってるのは、ほんと洒落てるなと思う。

 庭園向こうに見える和風建築がなんとも良い。

 天気の良い日には、琵琶湖から吹く風に花々の香りをまとわせながら、思い思いの場所でゆっくり時間を過ごしたい。

  

 と、ここでわずかに残念なのが庭園と建物の出入り口がなぜだか分離されていること。
 今や全国チェーン銀座と化した騒々しい看板だらけの161号線から逃れて、大変美しく残ってる建物の玄関からロビーに入ると、一帯はアンバー色した落ち着いた空気が流れてる。それで先程までの現実からスイッチが切り替わるので、この建物から元ホテルフロントで庭園のチケットを買って、フロア向こうに広がる光の先の庭園に出れるようにすれば、もっともっと、素敵だろうにな、と。

 アプローチと余韻って、細かいとこだけど大事。