教え子に教えられる落語。

 

 日曜日。

 以前住んでいた頃には無かった、京都は八瀬に出現した古民家リノベの猫関連雑貨&カフェ&ギャラリーが併設されている「猫猫寺」へ。写真専門学校での元教え子の長男、5歳になったばかりのかわもりたまき君による落語を見に行ってきた。

 「猫猫寺市」などイベント時のみが御勤め日の住職・小雪(女の子なので尼さん)鎮座ましましのお座敷にて、びっくり記憶力と舞台根性、あどけない滑舌がこれまた微笑ましいたまき君の落語。

 3歳から始めた落語は、老人ホームで演ると笑いを誘う、と言うより皆さん泣いてしまう、まさに泣きの孫アイドル。元々は「笑点」のテーマ音楽から興味を持ち出し、自然と落語を始めたんだとか。今の所、師匠は落語好き両親。

 細かいチェックポイントだけど、子供用半纏を解いて型紙をおこして母が手縫いした着物は、出番直前に袖を通して終わるとすかさず自ら脱ぐと言うオンオフの切り替えも面白い。「似合ってるから着てたらええのに」と言っても、うんもいやも言わず、終わるとしれっと脱いで、そこらに普通に馴染んでいる。高座を降りてもお客さんにちやほやされるのは、まるで興味はなさそうである。

 

 ちなみに、たまき君の母は焼き菓子のマカロンを作り、そして旦那さんは「初恋レコード」と言う、滋賀の彦根でマニアックな中古レコード屋を(全くアナログ世代じゃない筈の)二人で営んでいる。マカロンとレコード。よっぽど丸いもんが好きやったんやな。残念ながら、写真は四角だもんね。レンズもフィルム粒子も丸いんやけどな、実は。

 そんな二人のほんわり仲良し夫婦には子供が二人。ニッチ過ぎる生業に、遠目だと生存能力は謎多しだけど、子供達とやりとりしてる会話も関係性も、とてもゆとりがあって穏やかで、伸び伸びしてる。子供らがやらかす事を戒める時、「ダメ!」「やめて!」と頭ごなしに一喝しないのがとても和む。なんでもゆるりと説明するから「なるほど了解」と腑に落ちて、納得してないことはまたしれっとやる。小さい人間と大きい人間。その繰り返し。

 そうそう、自分も子供の頃、叱られる理不尽の理由説明が欲しかったなと思い出す。受売りの理想教育と抱き合わせに、「忙しい」「お金無い」が漠然とした理由に横たわってたけど、ゆとりって、そんなとこなのか?を根底から覆している。
 学生の頃から母は優しくてのんびり屋さんだったけど、好きなものがよく分かっていて、これと思ったものへの探究心と行動力にはよく驚かされていたし、彼女の両親のように、どうかこの子の良さが分かる相方といつか出会えますようにと、ひっそり思ってた。

 そしてやっぱり地球は丸くてクルクル繋がっていて、優しい人もいい人も分かち合える人も、実は居るもんなんだなって、逆に教えられた気がする。どうやら彼らの子供達にすこぶる懐かれて、「面白い人」と思ってもらえて良かった。これからも忘れられないように、私もユルイ人間で居よう(笑)。

 

 別れ際、なぜだか手相の話になって、偶然にも、一緒に行った同じくのんびり屋で地味に我が強い教え子とたまき君母の手相にバッチリKY線、たまき君は更に珍しい、波乱万丈で天下取りのマスカケ線がくっきりと刻まれていた。

 

 いいじゃないか。これからも自分のペースで、楽しく暮らしてゆきましょか、と、言うことで。

 

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