このあと何処へ行けばいい。桂離宮。


 「人間はどんどん、どんどん、退化しとるな。そう思わんか」。

 博物館や美術館を訪れたり、優れた歴史的建造物や工芸品などに出会うたび、これが父親の口癖だった。よう、今やったらこんなん、なんぼお金があっても、もう人の手で作れへんやろう、俺も、お前も。出来るか?と。

 「京都やったら、桂離宮は最も観るべきや」。これも父親の口癖だった。遠方からの来客が京都を訪れると事前に分かれば、その頃は今のように先着順の当日受付は無し、勿論ネット申し込みも無しという中、事前申し込みの往復ハガキをよく父親が出していたのは覚えてる。

 私は性格がとても天邪鬼なので、人にイチオシと勧められてもなかなかすぐに飛びつかず、とりわけ親の言う事というのは、海辺の山崩しのように少しづつ少しづつ、遠くから手で砂をかいでゆくかのごとく近づいて行くので、今になってようやく、桂離宮を訪れた。

 そんな桂離宮について、ここでなにがしかを書くのは自分のように言葉の退化した人間には、とても感想など述べられない。

 

 新世紀になったばかりの、9.11が起こった僅か一週間前に亡くなった父親。

 今のようにSNSどころか、ITC?ICT?だかAIだか、あれやこれやとキーワードすら追いつけないほど進化したと言われる昨今にあっても、あの父親の言葉はなんら変わることは無いだろうなと、私はそこで思った。



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 おまけ。次行く際の備忘録。
 今回は、光の具合が素晴らしいだろう見込みの、冬の夕暮れ間際の時間帯参観に希望を出した。その前の腹ごしらえに、それこそ離宮近くの有名甘味屋さんは何度も行ったことがあるので、阪急桂駅すぐの手打ちうどん屋さん「つるめん」さんへ。
 鰹がしっかり効いたお出汁に、美味しいおうどん。ご飯セットにすると4種のご飯(かやくご飯、ネギご飯、卵かけご飯、雑魚山椒)から選べて嬉しい。おうどん専門店だが、どちらか言うと蕎麦派のおツレは「この出汁、蕎麦でも美味しいやろなあ」と言っていた。