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新緑に躑躅の差し色。東福寺。


 京阪とJRの線路の東にはもうすぐ山手という住宅街にして、南は伏見稲荷、北は東福寺と挟まれ、更に南には龍谷大学、ちょっと離れて北には京都女子大学に挟まれる我が家エリア。

 古くからある大衆食堂や安い居酒屋がポツポツ、逆に観光地価格の飲食店がポツポツと、二極化振り幅広めな飲食店たちが、基本的には住宅街の中に混在している。あとはコロナで鳴りを潜めたゲストハウス(民泊)もまた、空き家転用から拍車をかけてきている。

 京都市内のその他エリアに関しては、観光拠点のそれぞれを中心として終日大混雑、加えて目眩く新店ラッシュに情報オーバーフロウとなって知らない街化が自分の中で加速していく。そんな光景を遠目に見て新規開拓する熱意はすっかり激減してしまい、ご近所にひょこひょこ誕生した飲食店で手堅く美味しそうなのを狙っては、自転車で回って巡るのが今や楽しい。

 

 伏見稲荷からもう少し南下して深草エリアに去年出来た「香噴噴菜館」さんは、オープン当初は夜もやってたそうだが、昨今の慢性的人手不足によるものか、現在はランチタイムのみ営業のワンオペ。おツレが先行して仕事仲間と行って美味しかったそうで、朝昼兼用で行ってみることに。
 中華粥がついたランチセット。なんとまあ優しい優しい味付けなこと。そして点心セットのチャーシュー肉まん。これがまた最高に美味しかった!休みの日の朝。何も作らず、外に出てお粥で始まる1日って良いなぁ。旅みたい。

 

 その後、連休中の1日だけ、近所学区の住民だけ対象の、普段は拝観料が必要なところを無料で入れる東福寺通天橋を散歩。東福寺無料参拝は、毎年3月の涅槃会の時だけ、ご近所招待が回覧板で回ってくるんですが、今年初めて新緑の時期も無料拝観の機会を設けて下さった。学区エリアの有志の皆さんによるご尽力。ありがたいです感謝。

 紅葉時期には何度も訪れた東福寺は、美しさは言うまでもないがもちろん観光客でごった返す。コロナ5類以降となった今年の秋はきっと、東福寺境内はもう、日本じゃなくて外国になるだろう。
 近頃は伏見稲荷の流れで足を伸ばして、いよいよオフシーズンの東福寺も外国人観光客が以前よりたくさん来られるようになってきている。Googleマップが便利すぎて、伏見稲荷から続く東福寺までの裏道で山手の住宅街も、今や皆さんしっかりご活用されて、うっかりヨレヨレの部屋着でゴミ出ししてると、楽しげな旅の途中の外国人旅行客の皆さんに会釈されたりする。まあまあ照れくさい。

 

 いつまでこうして静かに見られるかなあ。まあ。私もあと3年ほどで能登に移住するんだよな。

 新緑高まる中をツツジが燃えて、この時期の東福寺も非常に魅力的であることを噛み締める。

 

谷口菜穂子写真事務所
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