もう、これまで何回参加したか分からなくなった、京都古材文化の会さん主催による「しめ縄作りワークショップ」。年末と、来る新年に向けて何も出来て無い中を、これはやったと実感する為の恒例行事と化している。
稲作を基盤とする日本はじめ東アジアにおいて、イネの副産物である稲藁を生活用品や燃料(飼料や肥料など)、建材、食文化や神事など、多様にとことん利活用する「稲藁文化」。
一方で稲作の効率化(コンバインの普及など)によって加工に重宝な長い藁の入手が困難になり、加えてプラスチック製品の普及により稲藁を用いた伝統技術は絶える危機にある。こうした状況の中で、技術を伝承し、活動されているのがワークショップの講師をして下さる京都の山村エリア、京北の爺様先生たちだ。
毎回、普及活動の為に皆さんで育てられている餅米による稲藁と共に、里山で採った色んな花材をワークショップのために提供して下さる。その中でも、私はモフモフなヒカゲノカズラが大好きでいつも待ち焦がれている。古事記や万葉集にも登場するシダ植物で、湿った日向で育つ。が、毎年持ち帰って育ててみようとするも全く成功しない。床の間のお正月飾りに用いられる「掛け蓬莱」は、このヒカゲノカズラが長ければ長いほど良いとされるが、花屋で求めたらびっくり高価、それだけ立派に育成させるのが難しいんだろう。環境にとても敏感かつ繊細なのだ。
毎年参加する事で、しめ縄の作り方は年一と言えおおよそ身についた。振り返れば父が亡くなり鹿児島の父の郷里が神道なので神棚を初めて家に置くことになった際、田舎の叔父さんが作る神棚のしめ縄飾りをどうやって作るものか分からないので貰って、そのまま数年神棚にかけたままにしていたのを思い出す。そんな事もあったなあと、このワークショップに参加して以降は、毎年新しいお手製のしめ縄飾りを架け替えられるささやかな喜びとか、心機一転感みたいなものを享受させて頂いている。
基本のごぼう型(私はこれを神棚飾りとする)を作ったら、あとはお好みでまた一本、締めたのをグイッと曲げてリースなどを作るが、今回私は初挑戦で唐辛子飾りの編み方を教えてもらった。爺様先生は基礎だけを教えてくれるので、後の花材や飾り付けはお好みで、家に持ち帰ってフリースタイルの宿題。ついでに先日石川の家の庭から剪定枝として持ち帰った能登ヒバでクリスマスリースも作ってみた。題して、石川と京都のコラボリース。
「当たり前」の事って、当たり前と思って伝承しなければ廃れていくんだというのを実感する手仕事のうちのひとつ。そんな事を思っていたら、稲藁の束を知らない人と囲んで、タラタラと世間話などしながら作る工程とその時間も、実はかけがえのない事なのかもしれない。
近頃、地元を離れて新たな拠点を設けようとするタイムスケジュールが見えかけてきて、なんでもなかったことの実は希少な事に、とても敏感になってきてるなあって思う。
そしてこれは、決して悪いことでは無いとも、思ったりする。



