滋賀探訪

滋賀探訪 · 28日 1月 2025
 滋賀県立美術館へ行ってきた。ロバート・メープルソープの写真展以来というのでいつの事だったか今更調べたら1993年(!)。当時、メープルソープは没後と言え国内では一般人がそこまで知らない存在だったのかもしれない。美術館のアーカイブにあるように、観覧者数は僅か25,000人程。だがおかげで当時、静かな空間の中で散々にその世界観と、オリジナルプリントの展示が観覧出来た。今でもその時の記憶は鮮明だ。まだ、私が写真業界に片足を付けながらカメラマンになるなんて、思っても無かった時期だったけど、背中を押された一つのきっかけであったのには違いない。何故なら、その後ほどなくして写真を撮るようになったから。  さて。そんな32年ぶりの今回。何よりタイトルの「BUTSUDORI」のインパクトにやられた。  「ブツドリ」とは我々広告写真業界で「物撮り」つまり静物(商品)撮影を指す。なんてニッチなタイトルをつけるんだ。。。痺れた。  展示内容はつまりは静物写真の歴史的コレクションで、日本人写真家たちによる、写真術創世記からピクトリアリズム時代のもの、文化財記録、広告写真、現代アートまでアーカイブされていた。普段、展覧会のキャプションはあまり読まずに展示作品を見る方だが、今回ほどキャプションをしっかり読んだものは無い。それだけ、時代背景や作者(日本人の写真家となると花鳥風月か人物写真系がどうしても前にきがちなので)の来歴も興味深かった。  その中には、頭をドカンとやられるような、まだ昨今のようなライト機材が無い時代に見事なライティングと構図力による仏像写真があったり、和花写真があったりと、単なる記録性から超越した創世記の写真表現に良い意味で打ちのめされた。モノに問い掛け、ひたむきな作者の様がいずれの写真にも宿っていた。  また、日本における文化財記録の歴史は、明治時代初期の廃仏毀釈によって多くの貴重なものが破壊され消滅する危機に瀕した状況を憂いだ明治政府が、当時いよいよ写真術がその記録を行うのに最適なツールとして見出され、政府主導のもとで始められたのがきっかけであるというのも知った。  展示の最後の最後のスペースには、簡易撮影ブースが設けられていて、自由にそこにある様々な日用品などのオブジェを使って撮影体験出来る、という無人ワークショップコーナーも素敵だった。子供さんもきっと絶対楽しいはず。  いやあ。。。しかしいよいよ、デジタルでしかあり得なくなった昨今の写真界において、フィルム及び銀塩写真自体が、これほどまでに実際にオリジナルを見ないことには印刷媒体や、あるいはネット上において、そのテクスチャーも含めて写真の力が伝わらない領域になったのかと、改めて驚く。  それだけ、実物を見ることの凄みを、今回改めて感じた次第でした。  ブツドリというものに触手の湧かない人に、どれだけ響くか分からないニッチな内容ですが、物言わぬ写真(被写体)に魂の宿るこの展覧会、是非どうぞオススメです。  そして滋賀県立美術館のこの、開館40周年の記念にしてめちゃくちゃ尖ったコンセプトには、心からのエールを贈りたいです。本当に、素晴らしかった。何やってるの私、頑張らなきゃなあと思わせてもらいました。 ↓リンク先はこちら https://www.shigamuseum.jp/exhibitions/6277/
滋賀探訪 · 17日 12月 2024
滋賀県大津市。寿長生の郷(すないのさと)。 琵琶湖から唯一流れ出る瀬田川のほとりに位置し、六万三千坪の丘陵地に広がる和菓子メーカー「叶匠壽庵」のお菓子が生まれる場所にして、菓子に用いる素材を育てる農の場でもあり、元は集落が消滅し、荒廃した山野をまた再び里山へと再生し続ける取り組みを重ねる場でもある。...
滋賀探訪 · 08日 12月 2023
個人的、こちらでの23回目の師走。 春のお菓子を冬に撮影するのが我々業界恒例ですが、 記憶の限り、今までで最も凍えない一日で、 思わず秋の残りものをあれこれ目にすることが出来ました。 しかしこうも秋に包まれると、 12月にやらなきゃならない事諸々に対して、 まだ手をつけなくて大丈夫だと勘違いしてしまいそう。...
滋賀探訪 · 12日 7月 2023
深い庇の内こそ得る安寧。 その向こうは遣らずの雨。
滋賀探訪 · 19日 6月 2022
   明治から昭和初期にかけて活躍した日本画家・山元春挙(明治四年〜昭和八年)の別邸が滋賀県大津市にあると聞いた。  加えて、普段は要予約でしか公開されていないところを、生誕150年記念にかけて、滋賀県立美術館で回顧展が開催されているのに合わせて予約無しで公開されていると知り、急いで出かけることにした。...
滋賀探訪 · 25日 2月 2021
京都から滋賀県は琵琶湖の湖西側、高島エリアまで。 久々の息抜きに、日帰りドライブの王道ルートを巡ってみました。
滋賀探訪 · 20日 2月 2020
全国各地、自粛ムードがひたひたと。 地元観光地も明らかに人の数が減ってるなと感じる。 それでも春を知らせに花は咲く。 あんまり可愛らしいので、「見てちょうだいね」と言わんばかりに。 今年も千本の梅が咲き出しましたよ。 滋賀県大津市に佇む和菓子の里山で。 叶匠壽庵「寿長生の郷」
滋賀探訪 · 22日 11月 2019
 滋賀県は湖東エリア。琵琶湖の東側、および鈴鹿山脈の西山腹に位置し、西明寺、金剛輪寺、百済寺からなる三つの天台宗寺院の総称を「湖東三山」と呼ぶ。...
滋賀探訪 · 18日 10月 2019
 滋賀県は秦荘エリアへ。  毎度お馴染みせっかく来たのでシリーズ。と、言う事で今回は、湖東三山のひとつで紅葉名所の金剛輪寺を訪れてみた。...
滋賀探訪 · 22日 5月 2019
「びわ湖大津館」で薔薇に酔う。
滋賀県大津市にある、旧琵琶湖ホテルが転用された文化施設「びわ湖大津館」。隣接のイングリッシュガーデンではバラが今一番の見頃を迎えています。

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